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「Spectre」「Meltdown」対策前後のパフォーマンスを比較検証

「Spectre」「Meltdown」対策前後のパフォーマンスを比較検証

2018年4月26日

こんにちは。事業開発部の立原です。


 2018年1月3日、Google Project Zeroによって公開され、PC業界を震撼させた「Spectre」および「Meltdown」と呼ばれるCPUの重大な脆弱性について、各社対応が進んで来ております。

 Intelも3月15日に過去5年間に発売されたIntel製品全てについて、マイクロコードのアップデートをリリースしたと発表し、2018年後半には「Spectre」「Meltdown」対策の新設計を導入した新製品、第8世代Intel Coreプロセッサ(Coffee Lake)と、Xeonスケーラブル・プロセッサ(Cascade Lake)の出荷を予定していることが発表されています。


-目次-
 1.「Spectre」「Meltdown」とは
 2. 対策前後のパフォーマンス比較

1. 「Spectre」「Meltdown」とは


 Intel、AMD、ARMなど全てのプロセッサに存在するとされた「Spectre」「Meltdown」と名付けられた脆弱性は、CPU性能向上のために実装されている「投機的実行(Speculative Execution)」のメカニズムを悪用しています。
 基本的には、OS自体が使用している保護されたカーネルメモリ領域にアクセスしユーザーアカウントやパスワード等の本来は読み取れてはならない機密情報を盗み取ったり、ユーザーの意図しないプログラムを不正に実行出来るようになる脆弱性です。
 脆弱性の詳細については、早くからより詳細な解説記事が多く出ておりますので、そちらにお任せしたいと思います。


 Intelは2018年後半に投入される新プロセッサについては「Spectre」「Meltdown」対策としてハードウェアの設計変更を行うことを発表し、過去5年間に発売されたプロセッサについてはマイクロコードのアップデートをリリースし対応しています。
 ポートウェル社製品についても、マイクロコードのアップデートを含んだBIOSの更新により、対応を進めております。


 同時に、マイクロコードのアップデートによりPCのパフォーマンス低下を引き起こす場合があるという発表もなされております。そこで今回、ポートウェルジャパンオリジナルのATXマザーボード「RUBY-SQ1703」にて、脆弱性対策前後でのパフォーマンスの変化が見られるかベンチマークテストを実施し比較検証しました。


参考:インテル社ウェブサイト[ https://newsroom.intel.com/editorials/intel-security-issue-update-initial-performance-data-results-client-systems/ ]

2. 対策前後のパフォーマンス比較


まずは、今回の測定環境のご紹介です。

測定環境
Model RUBY-SQ1703 Rev:R000
BIOS(現行版) R1.10.E2
BIOS(対策版) TEST BIOS(現在は正式版リリース済み)
CPU Intel® Core™ i7-6700 4C/8T 3.4GHz
Memory Innodisk 16GB DDR4-2133 DIMM x4pcs
HDD (OS) Western Digital WD7500AADS (3.5inch 750GB SATA)
SSD (測定用) Western Digital WDS250G1B0A (2.5inch 250GB SATA)
電源 Nipron ePCSA-500P-X2S (500W)
OS Windows 7 Professional for Embedded Systems 64bit SP1
Windows 10 IoT Enterprise LTSB 2016 64bit


続いて、実際の測定結果をご覧ください。

テスト内容 測定結果(Win7) 測定結果(Win10)
Cinbench R15 現行版 対策版 比率[%] 現行版 対策版 比率[%]
OpenGL (fps) 57.99 57.98 99.98 53.65 53.82 100.32
CPU (cb) 823 822 99.88 819 811 99.02
PCMark10 現行版 対策版 比率[%] 現行版 対策版 比率[%]
Overall Score 3557 3476 97.72 3456 3342 96.70
Essentials 6390 6389 99.98 6079 5948 97.85
Productivity 6502 6062 93.23 5794 5503 94.98
Digital Content Creation 2941 2943 100.07 3182 3096 97.30
3DMark10 Sky Diver 現行版 対策版 比率[%] 現行版 対策版 比率[%]
Overall Score 4840 4815 99.48 4879 4850 99.41
Graphics Score 4385 4363 99.50 4430 4403 99.39
Physics Score 10887 10851 99.67 10557 10383 98.35
Combined Score 4591 4560 99.31 4662 4680 100.39
PerformanceTest 8.0 現行版 対策版 比率[%] 現行版 対策版 比率[%]
PassMark Rating 2512 2452 97.61 2345 2236 95.35
CPU Mark 10487 10502 100.14 10292 10354 100.60
2D Graphics Mark 986 1025 103.96 691 577 83.50
3D Garphics Mark 1235 1201 97.25 1292 1294 100.15
Memory Mark 2975 2977 100.07 2893 2734 94.50
Disk Mark 652 617 94.63 645 642 99.53
CrystalDiskMark (Seq Q32T1) 現行版[MB/s] 対策版[MB/s] 比率[%] 現行版[MB/s] 対策版[MB/s] 比率[%]
SATA接続 – Read 557.7 557.6 99.98 558.2 557.4 99.86
SATA接続 – Write 534.9 534.5 99.93 533.9 533.6 99.94
USB3.0接続 – Read 355.3 355.5 100.06 338.2 335.0 99.05
USB3.0接続 – Write 308.4 307.1 99.58 343.2 340.9 99.33
USB2.0接続 – Read 43.49 43.47 99.95 44.07 44.04 99.93
USB2.0接続 – Write 41.98 41.84 99.67 42.05 42.24 100.45

 Intel社の検証結果同様に、数%程度のパフォーマンス低下が見られる一部項目もありますが、脆弱性対策マイクロコードのアップデートを適用しても、パフォーマンスに大きな影響を与えることはなく、安心して弊社製品をご利用いただけます。



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