「Spectre」「Meltdown」対策前後のパフォーマンスを比較検証
こんにちは。事業開発部の立原です。
2018年1月3日、Google Project Zeroによって公開され、PC業界を震撼させた「Spectre」および「Meltdown」と呼ばれるCPUの重大な脆弱性について、各社対応が進んで来ております。
Intelも3月15日に過去5年間に発売されたIntel製品全てについて、マイクロコードのアップデートをリリースしたと発表し、2018年後半には「Spectre」「Meltdown」対策の新設計を導入した新製品、第8世代Intel Coreプロセッサ(Coffee Lake)と、Xeonスケーラブル・プロセッサ(Cascade Lake)の出荷を予定していることが発表されています。
-目次-
1.「Spectre」「Meltdown」とは
2. 対策前後のパフォーマンス比較
1. 「Spectre」「Meltdown」とは
Intel、AMD、ARMなど全てのプロセッサに存在するとされた「Spectre」「Meltdown」と名付けられた脆弱性は、CPU性能向上のために実装されている「投機的実行(Speculative Execution)」のメカニズムを悪用しています。
基本的には、OS自体が使用している保護されたカーネルメモリ領域にアクセスしユーザーアカウントやパスワード等の本来は読み取れてはならない機密情報を盗み取ったり、ユーザーの意図しないプログラムを不正に実行出来るようになる脆弱性です。
脆弱性の詳細については、早くからより詳細な解説記事が多く出ておりますので、そちらにお任せしたいと思います。
Intelは2018年後半に投入される新プロセッサについては「Spectre」「Meltdown」対策としてハードウェアの設計変更を行うことを発表し、過去5年間に発売されたプロセッサについてはマイクロコードのアップデートをリリースし対応しています。
ポートウェル社製品についても、マイクロコードのアップデートを含んだBIOSの更新により、対応を進めております。
同時に、マイクロコードのアップデートによりPCのパフォーマンス低下を引き起こす場合があるという発表もなされております。そこで今回、ポートウェルジャパンオリジナルのATXマザーボード「RUBY-SQ1703」にて、脆弱性対策前後でのパフォーマンスの変化が見られるかベンチマークテストを実施し比較検証しました。
参考:インテル社ウェブサイト[ https://newsroom.intel.com/editorials/intel-security-issue-update-initial-performance-data-results-client-systems/ ]
2. 対策前後のパフォーマンス比較
まずは、今回の測定環境のご紹介です。
測定環境 | |
---|---|
Model | RUBY-SQ1703 Rev:R000 |
BIOS(現行版) | R1.10.E2 |
BIOS(対策版) | TEST BIOS(現在は正式版リリース済み) |
CPU | Intel® Core™ i7-6700 4C/8T 3.4GHz |
Memory | Innodisk 16GB DDR4-2133 DIMM x4pcs |
HDD (OS) | Western Digital WD7500AADS (3.5inch 750GB SATA) |
SSD (測定用) | Western Digital WDS250G1B0A (2.5inch 250GB SATA) |
電源 | Nipron ePCSA-500P-X2S (500W) |
OS | Windows 7 Professional for Embedded Systems 64bit SP1 Windows 10 IoT Enterprise LTSB 2016 64bit |
続いて、実際の測定結果をご覧ください。
テスト内容 | 測定結果(Win7) | 測定結果(Win10) | ||||
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Cinbench R15 | 現行版 | 対策版 | 比率[%] | 現行版 | 対策版 | 比率[%] |
OpenGL (fps) | 57.99 | 57.98 | 99.98 | 53.65 | 53.82 | 100.32 |
CPU (cb) | 823 | 822 | 99.88 | 819 | 811 | 99.02 |
PCMark10 | 現行版 | 対策版 | 比率[%] | 現行版 | 対策版 | 比率[%] |
Overall Score | 3557 | 3476 | 97.72 | 3456 | 3342 | 96.70 |
Essentials | 6390 | 6389 | 99.98 | 6079 | 5948 | 97.85 |
Productivity | 6502 | 6062 | 93.23 | 5794 | 5503 | 94.98 |
Digital Content Creation | 2941 | 2943 | 100.07 | 3182 | 3096 | 97.30 |
3DMark10 Sky Diver | 現行版 | 対策版 | 比率[%] | 現行版 | 対策版 | 比率[%] |
Overall Score | 4840 | 4815 | 99.48 | 4879 | 4850 | 99.41 |
Graphics Score | 4385 | 4363 | 99.50 | 4430 | 4403 | 99.39 |
Physics Score | 10887 | 10851 | 99.67 | 10557 | 10383 | 98.35 |
Combined Score | 4591 | 4560 | 99.31 | 4662 | 4680 | 100.39 |
PerformanceTest 8.0 | 現行版 | 対策版 | 比率[%] | 現行版 | 対策版 | 比率[%] |
PassMark Rating | 2512 | 2452 | 97.61 | 2345 | 2236 | 95.35 |
CPU Mark | 10487 | 10502 | 100.14 | 10292 | 10354 | 100.60 |
2D Graphics Mark | 986 | 1025 | 103.96 | 691 | 577 | 83.50 |
3D Garphics Mark | 1235 | 1201 | 97.25 | 1292 | 1294 | 100.15 |
Memory Mark | 2975 | 2977 | 100.07 | 2893 | 2734 | 94.50 |
Disk Mark | 652 | 617 | 94.63 | 645 | 642 | 99.53 |
CrystalDiskMark (Seq Q32T1) | 現行版[MB/s] | 対策版[MB/s] | 比率[%] | 現行版[MB/s] | 対策版[MB/s] | 比率[%] |
SATA接続 – Read | 557.7 | 557.6 | 99.98 | 558.2 | 557.4 | 99.86 |
SATA接続 – Write | 534.9 | 534.5 | 99.93 | 533.9 | 533.6 | 99.94 |
USB3.0接続 – Read | 355.3 | 355.5 | 100.06 | 338.2 | 335.0 | 99.05 |
USB3.0接続 – Write | 308.4 | 307.1 | 99.58 | 343.2 | 340.9 | 99.33 |
USB2.0接続 – Read | 43.49 | 43.47 | 99.95 | 44.07 | 44.04 | 99.93 |
USB2.0接続 – Write | 41.98 | 41.84 | 99.67 | 42.05 | 42.24 | 100.45 |
Intel社の検証結果同様に、数%程度のパフォーマンス低下が見られる一部項目もありますが、脆弱性対策マイクロコードのアップデートを適用しても、パフォーマンスに大きな影響を与えることはなく、安心して弊社製品をご利用いただけます。
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