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意外と知らない?産業用PCにおける長期供給のメリット

意外と知らない?産業用PCにおける長期供給のメリット

2021年10月26日


 皆様こんにちは。事業開発部の宮本です。


 今回は産業用PCを構成する大きな要素のうちの一つ、長期供給に関するエントリです。
一体長期供給とはなんなのか、そのメリットを中心に実際のケーススタディを交えてご説明したいと思います。




 [目次]
 1. 長期供給とは?
 2. 長期供給のメリットはズバリ!
 3. 削減できる費用



1. 長期供給とは?


 長期供給とは、読んで字のごとく「長期間に渡って供給が可能」という意味です。
一般的に産業用PCでの長期供給と言うと販売開始から10年程度継続して同じ仕様の製品が購入できるという意味を持っています。よく比較されるものに家電量販店などで購入可能な一般用PCがありますが(民生用PCやコンシューマーPCと呼ばれたりもします)、こちらは特性として「より新しいスペックアップしたもの」が好まれる傾向にあります。
 こう聞いてしまうとなぜわざわざいつまでもスペックで劣っていくものを使い続ける必要があるのか?と疑問が湧くかもしれませんが、長期供給によって実現するメリットというものが確かに存在します。





2. 長期供給のメリットはズバリ!


 もったいぶらずに結論から言いましょう…産業用PCにおける長期供給のメリット、それはズバリ!

「費用の削減」です!

 単純に「費用の削減」と聞いてしまうと「あれ?産業用PCって安かったっけ?」と思われてしまう危険性がありますが、残念ながら不正解。一般的には産業用PCの方がコストとしては高いです。そちらも様々理由はあるのですが今回は一度置いておくとして、それではなぜ「費用の削減」になるのでしょうか?
次章では実際のケースに合わせて削減できる費用の種類をご紹介します。





3. 削減できる費用


① 規格認証再取得費用

 組み込む機器によっては最終製品で様々な認証を取得する必要がある場合があります。その場合、多くのケースでキーパーツとなる産業用PCが変更になると規格認証再取得の対象となってしまい、多大な検証費用、そして認証費用が再度かかってしまいます。
 具体的な例としては以下のような規格認証です。


・ 特定業種に必要な規格 … 医療機器におけるIEC60601等
・ ノイズ系規格 … VCCI、FCC等
・ 各国安全規定 … CE、UL、CCC、KC等


 認証費用を必要としない自己宣言で適応可能な規格であっても、根拠となるテストの実施は必要です。そのため、再認証取得となれば検証をするための人的費用、そして規格によっては外部専門機関で認証取得費用を要するものもありますので、これらの費用がPCモデルチェンジのたびにかかってしまいます。
 一般的なPCの供給期間は凡そ1年程度かと思いますので(殆どの製品ではそもそも供給性を明示していませんので肌感覚です)、毎年これらの費用が発生するとなると如何にPC単体のコストが安くとも総合的には産業用PCを使用した方がコスト削減につながります。




② 代替品検証費用

 そもそも産業用としては特定のアプリケーション、拡張カードなどと組み合わせて最終的な機能を実現することが前提となります。例えば、ファクトリーオートメーションであれば画像処理用のFPGAカードやカメラと接続するためのインターフェースカードといった専用の拡張カードが接続されることもあります。
 また、ソフトウェアの側面から考えても同様で、医療機器やレコーダー等専用のソフトウェアがインストールされます。
 そのため、もし現在使用中のPCがEOLとなった場合、必ず再度新しいPCで現在使用中のFPGAカードは動くのか、OSは対応しているのか、Driverはメーカーから提供されるのか、そもそも同じ場所に組み込めるサイズのものはあるのか、といった確認をしなくてはなりませんし、ソフトウェアでも同様の状況となってしまいます。はっきり言ってしまうと、再開発と同程度の労力=費用を注ぎ込まねばなりません。
 書いているだけでも面倒なのに実際にそれを行う労力=費用を想像すれば、できるだけ同じものを使用した方が心身ともに健康な状態が保てますよね。これが代替品検証費用の削減です。




③ 保守サポート費用

 世の中に絶対壊れないものは無いということで、如何に素晴らしい製品でも故障・修理の必要性が発生します。その時に現物はおろか、保守パーツまでもが用意されていなければどうなるでしょうか…?そう、悪魔の響きを思わせる、「修理不可」です。
 言葉にするのは簡単なのですが、実際工場の中で生産機器として動いているものが修理不可となってしまった場合、どうでしょう。工場のラインも止まってしまいますし、場合によっては事業そのものが止まってしまうという事態にもなりかねません。その場合の損失利益=費用は計り知れません。
 長期供給品を使用していれば、ある程度の期間で同じものが入手できますので、最悪追加で購入してしまえば復旧作業が容易に実現できます。緊急事態発生を防ぐという意味で、費用削減につなげることができます。




 今回は組込み用PCの側面から見た長期供給のメリットに関してご説明しました。
 ただし、このメリットは昨今導入が進んでいる工場自動化やIoT、エッジコンピューティングに関しても同じことが言えます。
 例えば、工場自動化の一環としてペーパーレス化をすすめるため、生産管理のソフトウェアを取り入れタブレットを使用する場合を考えてみましょう。その場合にも、どんなソフトが適しているのか検討を進めた上、必ず特定部署で検証を行って有用性を確かめた後に全社展開といったフェーズに入っていくのではないでしょうか?
 検証も終わり、これから導入という段階でハードウェアが販売終了となってしまった場合、少なくとももう一度サンプルベースで動作を確認する必要がでてきてしまいます。
 また、導入から数年後、海外の工場でも同じソフトウェアを導入するといったケースに置いても、同じものが購入できたほうが検証作業は少なく済みます。
 これらの特性は工場内に設置したセンサーノードやゲートウェイに関しても同じことが言えます。




 [まとめ]
 長期供給最大のメリットは、「費用の削減」!!








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